装備                    登攀開始 5:55
              ザック(プロテクター)                  2P〃   6:50
              9・8ミリ50Mロープ   1本             3P〃   8:00
              ヌンチャク       14セット            4P〃   8:55
              グリグリ          1個             5P〃   9:55 
              安全環紐付きユマール 1個             6P〃   10:45
              エイト環          1個             7P〃   11:40 
              安全環付カラビナ    3個             8P〃   12:40
              ヘルメット                        9P〃    1:50 
              ソール                          10P〃   2:50
                          終了点   3:35 
              持ち物                 所要時間9時間40分
              ナイロンヤッケ                    (休憩30分含む)     
              アプローチ用の運動靴
              カメラ
              草もち       5個                                                                 
              ポカリスエット   1リッター
                                                                                                                               2004年6月4日 

サンダーボルトをいつかは単独のフリーで全ピッチ通して登りたいと思っていたがフリーの通しとなると体力的に自信がなかった。 マニュアルの無いビレイ方法にも多少の不安があった先年チンネにトライして2度敗退した。 30Kのザックを担いで黒部ダムの下から蔵之助平〜はしご谷〜三ノ窓雪渓〜チンネの基部へ2泊がかりでやっとの思いで辿りついて左稜線(多分)にとりついたが、体力も気力も残って無く不安にも負けた。 5日がかりで殆ど登らずの敗退だがトライしただけで満足だった。 

次の年、剣本峰越えでリベンジ、長次郎のコルをベースに左稜線の少し右のルートに取り付いたが、ちょっと登ったところで突然みぞれが降り出して敗退。 テントに帰る途中、ガスで視界3Mぐらいになりテントに帰れなくなった。 崖を1時間ほどトラバースすると元の場所に戻ってしまうのだ。 長次郎の頭を3時間グルグル回っていたのに気づいた時には氷雨が本降りになっていた。 

暗くて動けずに雨のしたたる岩の隙間へ頭を突っ込み、しばらくふるえていたが寒くて我慢できなくなった時ほんの一瞬雲の間が明るくなって、崖の下に月の光で赤いテントが見えたときの嬉しさは一生忘れないだろう。 すぐに元の暗闇に戻ったが何とか手探りでテントに帰って着替えラーメンを食べたら生きている有難さがあふれてきた。

最近、山野井さんにビレイ方法を直接伺う機会があり、そのシンプルさに驚いた。 ヘタに真似すると10m以上も落ちてしまうのだ。 僕なりのビレイに確信が持てたのでとりあえずリハーサルのつもりでサンダーボルトへ出かけた。 今回は荷物を最小限にして、なくても登れるチョークや人工的なチョンボ棒など一切持たずに正々堂々とフリーでトライする事にした。 

体力さえ続けばなんてことない。 開拓時には3Pまでは何度となく登ったし、4Pより上は懸垂下降しては登り返していたので自信はあるが通しとなるとどうなるか、何分もうすぐ58歳のポンコツである。 あわよくばのスケベ心と道連れで千石ー(ぐら)に向かった。

4Pまで男登りしすぎて、5Pの核心でガス欠に陥り得意なはずのレイバックが出来なくてヌンチャク5本で輪を作り、足を掛けてしまったのが唯一の心残りだ、いつもは楽勝なのに残念だ。 T5で草もちを食べて休憩したら力が湧いてきた。 7Pで完登のメドがつき、邪念(HPのことなどが頭をよぎって)でムーブに集中出来なくなった。グリグリの使用範囲より細い9・8ミリのロープなので落下のスピードが出ないとロックしないのだ。 

死にはしないだろうが、このクラックでは落ちられない。 頬をバシバシ叩いて気合を入れたがすぐニヤケてくる。 8Pのコーナーはステミングが良く決まり、男前に登れて、また気がゆるんだ。 このPは少々落ちても怪我しないので安心だ。  上部最後の核心ではムチウチになる程思いきり叩いた(俺は サドか?マドか?)、 かなり疲れていたが合格点の登りが出来た。 

残りのPも平常心で登れたが終了点に着いたら立っているのがやっとだった。 コケた頬をなでたらミミズ腫れで痛かった。 なぜかいつもの感激がまったく無い。 俺は何処へ行ってしまったのだ? 一夜明けたら右の頬に指の跡。 やはり感激は無いが満たされていた。

今回は少しパワーアップした守護神と多くの背後霊(妄想癖?)が同行して下さったような、そんな気がして不安はまったくなかった。いつものアリ君達には会わなかったが、初めて崖の中央で小鳥のさえずりをきいた。

    
                                   夕陽の衛兵
           
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T5のレッジより5Pの
核心をふり返る

ここはルート中で一番気持ち
の良いレッジだが腰はおろせ
ないので、草もちを立ち食い
した

8P核心を超えたら思わず顔がニヤケて来て参りました

でかい顔で
景色が台無しですわ  m(_ _)m

終了点
完登直後

ザックはプロテクター
複雑なロープ操作にも
欠かせない装備だ

2004 サンダーボルト単独フリー初登

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T7

この8Pは結構体力がいる
中間のレッジでレスト
してから最後の核心へ
見えないガバを探りあて
なければ難しい

ピン左側直上は優しいが破砕帯で
ボルトが打てず岩の硬い右へ迂回
した為かなり厳しくなったがボルトは
よく効いているので安心だ

中間点にはボルトを3本打って
あるので安心だ

T1のテラス

1Pのヌンチャクを回収して来た直後

こことT5のボルトには落石感知用の
カバーが着けてある

8P最後の核心を越えた
直後の垂壁

登れない時は木の根っこ
でズルできる

T2のテラス

2Pの出口は当初8m以上のランナウトで
敗退用のカラビナの残置などもみられ要請
に応じボルトを2本追加 12本にしたら
かなり優しくなったように感じる

3P  

ロープを2重にしヌンチャクを
同時回収しながら中間点まで
トラバース

3P

大フレークの上のレッジに立つ
面倒なので左のT3をとばして
T4迄登った
4Pの出だしのハングでかなり
消耗した
ここはズルができない

T4

ここまで男登りをしたので
かなり疲れてきた
ここは増設のビレイ点なので
他よりショボい

T5より

6Pの傾斜のきついスラブを
立ち木の左へ登る易しいPだ

T6の側壁はかなり立って
見える

開拓時、滝見尾根から眺めた
P7-8間の断層に可能性を見出した

7P目のクラック

気が緩んでしまい
クリップもしないで
撮影している

角度を変えると高度感
がかなりなもの

取り付きの少し右から
見上げた1P

  T8のテラス
  ここまでくればもう安心




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このペンキはひんしゅくを買ったので消した (^^;
      直上しないでね!

9番目のテラスは森の中
ここはビバークも出来る